myfamの実話録

最悪を知るからありふれた幸せを知ることができる

15.自由は孤独と同義語である

人間は一人だ。

 

家族や友達、周りの人‥色んな人間が渦巻く環境で結局はたった一人なのだ。

 

生きていく上で、自分しか頼れない。

 

人間というのは、極端に自分に負担になることを恐れる。

 

信頼している人間であっても自分が負荷をかけ過ぎれば、その人は恐らく離れていくだろう。

 

負荷を相手にかけ過ぎるということは、こちらも相手を利用しているのと同義であるからだ。

 

このため、相手が離れても文句は言えないだろう。

 

私は、これから一人で生きていかなければならなかった。誰にも頼れない。

 

だけど社会というのは、そんな弱者には冷たいものなのだ。

 

日本社会というのは資本主義である。

 

権力のある者、力のある者が、そうでない者をまるで虫けらのように扱う。

 

人類は皆平等、人は人の上に人を作らずはとても良い言葉であるが、これは綺麗事だ。

 

それを私はこれから痛感することとなる。

 

まず、家を出るために私は物件探しをした。

 

しかし、どこも門前払いだ。

 

なぜかというと、天涯孤独の身でまだ働いてもおらず学生という身。

 

そんな人間に貸せる物件などないということである。

 

それは、そうである。私は何も築き上げていないのだ、社会への信頼を。

 

しかし、住む場所がないということは家を出ることはできない。

 

私は途方にくれた。

 

しかし私は車を所有していた。いざとなれば、車上生活も可能であった。

 

「もう、やるしかない」

 

私はどんなにイバラの道であるとしても、この母親から離れるためにはやるしかないと、そう決断した。

 

その後家を出る準備をこそこそと開始し、私は荷物の整理を行った。

 

不必要な物は全て売り、必要最小限の物をバックに詰めた。

 

そして、いよいよ家を出る時がやってきた。

 

その時だった。

 

「でていくの?」

 

後ろから声がした。母親だった。

 

「はい」

 

私は母親の顔をみれなかった。

 

「こそこそと、荷物の整理してたの知ってるのよ。でていくの勝手だけど黙ってでていくつもり?」

 

私は口を開くことができなかった。

 

「あんたにかかった養育費、1000万円。返しなさいよ」

 

?!!

 

私は驚きのあまり、目を見開く。

 

もう、だめだ。

 

この人間はどこまで、私を追い詰めるのだろう。

 

私は好きでお前の子供に産まれたんじゃない!

 

「それは産んだそちらの責任であって、私は支払う必要のないことです。さようなら」

 

私は酷く恐ろしい表情になった母親を後ろ目に、玄関の戸を開けた‥。

 

まばゆい光が私を照らしている。

 

言った‥

 

言ってやった。ついに、私は‥自由だ。

 

あの女から解放された‥

 

この日、私は19年間縛り付けられていた監獄を出た。

 

しかし、これから壮絶な人生が待ち受けていることをまだ知らない。